概要
江戸時代の松江藩7代藩主であり大名茶人の松平不昧公ゆかりの品々を含む茶道具や、楽山焼や布志名焼をはじめとする出雲地方の美術工芸品が主なコレクションであり、季節に合わせた茶道具の取り合わせや、出雲地方の美術工芸品を紹介展示しています。
創設者は“日本一の山林王”といわれた田部家の第23代当主田部長衛右門朋之氏です。氏は政治、経済および芸術を含む多くの分野において著名であり、島根県知事、島根新聞社の社長を歴任、そして陶磁器、絵画の分野においても熟練した芸術家であり、「松露亭」の号をもっていました。 田部氏は、美術品は多くの人々に鑑賞されるべきだとの強い願望で、約600年に亘り田部家が収集した美術品を公開するために財団を設立いたしました。 この美術館は氏の遺志を継ぎ、美術品を社会に広く公開し、文化の振興に貢献することを目的として運営しています。
建築について日本の代表的な建築家である菊竹清訓氏により設計されました。田部家が現在の雲南市吉田町で室町時代から営んでいた「たたら製鉄」のたたら場である「菅谷たたら」をイメージした屋根は製鉄に因んでコールテン鋼が使用されています。 当時の新しい建築技術や建築資材を使用しながらも伝統的な日本の茶室の趣を保持し、内部は優美さと落ち着きを感じさせ、外観は周囲の景観との調和美を兼ね備えたまさに芸術品です。
城下町松江宍道湖の東端、大橋川をはさんで位置する「水の都」松江も、かつては白潟郷と末次郷からなる寒村にすぎませんでした。 毛利氏の支配下にあった出雲国に関ヶ原の戦いに戦功をあげた堀尾吉晴が慶長16年(1611)松江に築城し、松江の開発がはじまります。その後は京極氏が継承し、寛永15年(1638)に徳川家康の孫・松平直政が信州松本から18万6千石をもって襲封。その後は松平氏10代‐230余年の長きにわたり城下町松江として栄ました。中でも、不昧公の名で知られる7代藩主松平治郷は、大名茶人として名高く、「茶処松江」は不昧公の影響ともいわれています。
沿革
開館は昭和54年11月3日、建物は日本の代表的建築家菊竹清訓氏の設計によるものです。
住所
〒690-0888 島根県松江市北堀町310−5TEL:0852-26-2211